美術評論「朴芳永-コリアンプリミティブ」

●プロローグ―はじまりの美術 約1万8千年前のラスコーやアルタミラの洞窟壁画は、観る者の心に新鮮な感動を呼び起こす。この洞窟壁画は、それを描いた後期旧石器時代のクロマニヨン人たちが高い知性と技術を持っていたことを証明している。それだけでない。芸術というものの本質は何なのかという問いを現代人に突き付けてくる。洞窟の壁に生き生きと描かれた動物たちは、原初のエネルギーに満ちあふれてい…

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美術評論「朴芳永」序章

●文人画とソンビ 朝鮮時代の韓国で在野の学者のことをソンビと言う。ゾンビではない。 ウィキペディアによれば「ソンビとは、学識が優れて礼節があって義理と原則を守って権力と富裕栄華を貪らない高潔な人柄を持った人に対する両班層の理想像を指す用語」とある。 儒教をはじめ政治・宗教・藝術などのあらゆる知識や教養に通じていて、物事の本質を見極める眼いわゆる慧眼の持ち主である。 か…

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