これが見たくてトーハクに行ったのです。
「特別展 やまと絵―受け継がれる王朝の美」東京国立博物館 平成館 2023年10月11日~12月3日
■作者不詳「日月四季山水図屏風」(国宝)
六曲一双、紙本着色、各147×313.5cm、室町時代15世紀、大阪・金剛寺蔵
圧倒的な迫力。天地に充満するエネルギーのうねりが画面全体から感じられます。細部にまでわたる繊細で精緻な表現、金箔や金泥と銀箔を駆使した見事な装飾性。隣に飾られていた雪舟の大作水墨画「四季花鳥図屏風」がかすんで見えました。
江戸時代初期の俵屋宗達にはじまる琳派にも影響を与えたのはあきらかです。
この「日月四季山水図」に対して朝鮮王朝の玉座の背後を飾った「日月五峰図屏風」(下図)の造形的な影響を見て取ることもできますが、もしそうだとしてもその経緯は不明です。
朝鮮王朝の屏風は様式化されており、同じデザインで数多く描き継がれてきました。作品の密度と迫力という点では、この比類ない国宝「日月四季山水図屏風」が「日月五峰図屏風」を圧倒します。
国宝「日月四季山水図屏風」の画面内部を探って観てみると、絵具が盛り上がった太い線で描かれた波の形は、曲がりくねった松の木の幹や枝に連なり、波しぶきは風に舞い上がり、まさに天地に脈動するエネルギーが、画面の細部と全体に息づいているのです。
これ1点で入場料を払う価値があると思わされました。
この絵にあまりにも時間を費やしてしまったせいか、会場を出るともう夕暮れでした。ここにトーハクの夕暮れの庭園を画像で少し紹介します。
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