まず、「魔除け」という言葉をグーグル先生に尋ねてみて、「AIによる概要」として一番頭に出てきた文章を紹介します。
『魔除けとは、魔性のものを近づけないこと、またはそのために用いる呪いやお守り、護符などを指します。
魔除けグッズには、次のようなものがあります。護符、お守り、お香、 パワーストーン。
パワーストーンには、魔除けや厄除けに効果がある天然石やブレスレットなどがあります。マラカイトやモリオンなどは、魔除けや邪気払いに効果があると言われています。・・・・』
ここで「魔性のもの」の正体がなにかは説明されていませんが、「魔」というものが存在するという前提で語られています。魔除けとして用いられる品は様々あります。
世界中のシャーマンや僧侶は、呪術的な力を備えた念珠やロザリオなどを日常的に身に着けています。こうした呪物は邪気(魔)から身を守るものでもあります。
「物質的あるいは霊的な存在」「言葉や音」「思考」これらはすべてエネルギーを持ちます。魔除けの「魔」とは、一つには「ネガティブなエネルギー」とみることができるのではないでしょうか。
●魔除けに使われる色
魔除けとはちょっと違いますが、神社の鳥居は、神域と俗世界を分ける結界の意味があるそうです。
鳥居の色はもともと神聖な色である白(白木)だったのですが、朱色や赤に塗られたものが多くみられます。それは仏教の影響であるとする説がありますがそれだけではなさそうです。
実は、日本では「赤(朱色)」は魔除けの色として多用されています。
「赤」は血の色でもありますが、生命力をあらわし、そうした力で邪気を払おうとしたのでしょう。
民芸品では会津地方の「赤べこ(牛)」は子供の疫病除けのお守りとして作られました。飛騨の「さるぼぼ」も赤い布で作られています。
「さるぼぼ」は猿の赤ん坊に似ているところから付けられた名前ですが、病が去る・災いが去るなど、特に子供の健康に対する願いがこめられています。
日本には古代イスラエルの言葉や事物が数多く残されていて、京都の祇園祭や青森のねぶた祭にもその痕跡があります。
イスラエルから日本に赴任したある大使は「失われたアーク(聖櫃)」を探しに徳島県の剣山に登りました。徳島では2014年に「剣山に隠された古代ユダヤと日本創生の秘密」というシンポジウムまで開かれています。
そうした事実を知ると、日本の神社の鳥居が「赤(朱色)」に塗られていることと、古代イスラエルの出エジプトの前に、長子を打たれないために羊の血を家の門に塗ったという「過ぎ越しの祭り」との間にはつながりがあるのではないかと思ってしまいます。
●魔除けとなる絵画
芸術作品としての絵画は魔除けを目的に描かれているわけではありません。芸術的なよろこびのために描かれています。
ただし、中には邪気を払う効果を求めて描かれた絵画があります。
難しい言葉で「辟邪(へきじゃ)」といいますが、日本でも呪術がさかんに行われた平安時代から鎌倉時代に描かれた「辟邪絵」が国宝として残っています。
◆辟邪絵
お隣の韓国では招福と辟邪を目的として描かれた「朝鮮民画」があります。特に「虎」は辟邪絵の代表格です。
虎の絵は門排図といって主に玄関にかけられ、家の中に悪いエネルギーが入ってこないことを願って飾られました。虎という強い力で邪気を退けようとするのは日本の辟邪絵や鬼瓦と似たような原理です。
◆鬼瓦
私は実際に現代的に表現された虎の絵を玄関に飾っており、そのことで奇跡的な何かが起こることはありませんが、絵に込められた意味を意識して見ることで、どことなく「安心感」が得られています。
絵画がそれを描く人の動機が祈りとなって込められていることを信じればなおさらです。
「祈り」は、それがポジティブであれネガティブであれ強いエネルギーを持ち、現実に影響を与えます。
人生は良いことばかりあるわけではなく、逆に心配事などが常につきまといます。そこで人々は心の安寧や自身を守護する超常的な力をもとめて、様々な宗教や念仏や呪物などに頼ってきました。
キリスト教の聖画である「イコン」なども心の拠り所として飾られることで、魔除けにつながる効果を発揮したでしょう。
◆イコン(6世紀ごろ)
●魔除けの内的要素
「魔除け」を実行している力は、いわゆる「(邪気を)祓う」という言葉からみれば、外的なエネルギーです。もう一方で心にもたらす力があります。
それは人の「意識」に働きかける力です。そして「意識」の持ちようによってはその効果が変わります。薬のプラシーボ効果のようなものです。
たとえば神社の鳥居をくぐるとき「結界を超えて神域に入る」という意識でくぐる人とそうでない人にでは神社内で感じるものが違ってくるでしょう。
魔除けだけでなく、健康や開運などにおいても、その求める効果は、どうしてもそれを信じている人の方が多く得られるはずです。
では、絵画が辟邪(魔除け)や招福(開運)のために効果を発揮するとすれば、そこにはどんなメカニズムが働いているのでしょう。
たとえば、「邪気を祓う」ということを取ってみたとき、絵画という物自体にもエネルギーが備わっていますので、パワーストーンのような外的なエネルギーで邪気を祓うこともあるのでしょう。
しかし絵画の場合、心(意識)にもたらされる力でなされることのほうが大きいはずです。つまり心に力をもらい、内面に生じたポジティブなエネルギーが作用してネガティブなエネルギー(邪気)を祓うということです。
招福においても絵画が福を引き寄せるというよりは、絵画によって心がポジティブになることでポジティブな現実を引き寄せるのです。
●究極的な魔除け
相似した(波長が同じ)エネルギーは、同調し共鳴し増幅します。逆に相反するエネルギー同士は相殺しあいます。
ポジティブなエネルギーである「愛」と「美」は同質な情的エネルギーですので、互いにエネルギーを授け受けすることで、それは増幅します。逆にネガティブなエネルギーであっても相対基準さえ合えば共鳴が始まりネガティブな力は増えます。
ゆえに自分自身のネガティブな心(邪心)は相対基準となる「魔」を引き寄せるのです。
結局のところ、どんなに外的な力で邪気(魔)を祓ったとしても、その「祓い」は一時的な効果に過ぎず、自身の中にネガティブな心(邪心)があるうちは祓ったはずの魔を再び引き寄せてしまうのです。
したがって、究極的な魔除けは自分自身の邪心の分別であり、それを自分自身で持続的になすことなのです。
●絵画による魔除けと開運
朝鮮民画で描かれた虎の絵は怖くありません。むしろ滑稽で見ているとおかしみがこみ上げてくるものが多いのです。韓国の現代作家の朴芳永画伯の虎の絵も、その朝鮮民画の造形的な影響を受けながら現代的な独自の表現で愛らしく描いています。
◆朝鮮民画「虎図」
◆朴芳永画伯「天力(虎)」
気に入った絵を家に飾ってみると、なんとなくでも「いいな」「きれい」「かわいい」といった「よろこび」が沸き立つものです。
上述した虎の絵も、見ていることで最終的に自分の中のポジティブな情が引き上げられていきます。
すると、現実がポジティブに変化していくのです。
すなわち絵画における「魔除け」とは、絵が邪気を祓うことではなく、内面のネガティブな意識が浄化されることです。
絵画を見る人の心のエネルギー、それは内面にそなわった自己治癒力といってもよいのですが、それを高めてあげることが絵画の役割の一つです。
あなたの現実を決めるのはすべてあなた次第です。
絵画は自身の現実の根本原因となる「意識」をポジティブに引き上げることで、現実に降りかかるネガティブな要素を退け、現実が多少なりともよくなることを助けてくれる存在なのです。
↓ポチっとおねがい
↑こっちもやっとくれ
(絵画の見方・買い方)トップページ
この記事へのコメント